会計伝票登録
4.1 会計伝票登録
1. 会計伝票登録
会計伝票登録について見てみましょう。
会計伝票の登録
会計伝票登録とはレシートや請求書など取引の事実を借方と貸方の形にして
FI のデータべーズに“公式記録”として保存することです。この「公式記録にする」動作を 転記 と呼びます。
何に記録されるのか
基本は総勘定元帳(GL)…会社全体の公式台帳。
取引の種類によっては同時に補助簿(サブ元帳)にも転記されます。
例)
- 得意先元帳(売掛金の相手先別明細)
- 仕入先元帳(買掛金の相手先別明細)
- 固定資産台帳(資産の取得・減価償却の明細)
イメージ:GL が“親台帳”、補助簿が“明細台帳”。一回の転記で両方が同時に更新されます。
注意点
会計は必ず「借方合計 ー 貸方合計 = 0」になるように(複式簿記)書きます。
貸借がバランスしない場合は転記が不可能
例:事務用品を掛けで購入(税抜\1,000・消費税\100)
- 借方:消耗品費 \1,000(P/L の費用)
- 借方:消費税 \100(B/S の資産)
- 貸方:買掛金 \1,100(B/S の負債・仕入先元帳にも同時記録)
-
合計:1,000 + 100 − 1,100 = 0
→ GL(費用/税/買掛金)と 仕入先元帳(相手先別明細)が同時に更新。
会計伝票の構造
会計伝票はヘッダ部分と明細部分から構成されます。
前述の通り複式簿記の原則に従い借方と貸方の合計が一致する必要があります。
会計伝票ヘッダ
伝票ヘッダは、会計伝票を一意に指定し、伝票概要を確認できるデータが含まれています。
会計伝票明細
伝票明細は、仕訳を構成する各勘定科目明細を指していて、それらに必要なデータが含まれています。
会計伝票の事前登録情報:FI-GL(総勘定元帳)
会計伝票はいきなり金額を入力するだけでは登録できません。
「取引先は誰か」「どの勘定科目を使うか」「どの会社で処理するか」などの情報を、予めマスタデータと呼ばれるものとして登録しておいたりカスタマイズしておき、それを基に登録を行います。
※今回の演習では予め登録済みです。手順についてはマニュアルを参照してください。
マスタデータの登録やカスタマイズの概要については次のページで解説します。
FI-GL(総勘定元帳)の会計伝票を作成するにあたって、事前に以下のマスタやカスタマイズの登録・設定が必要なものは以下です。
- マスタ
・得意先マスタ(一般データ、会社コードデータ) ※ BP マスタの得意先ロール
・仕入先マスタ(一般データ、会社コードデータ、購買組織データ) ※ BP マスタの得意先ロール
・勘定コードマスタ(共通データ、勘定コード表データ、会社コードデータ)
・利益センタ
・原価センタ -
カスタマイズ
・会社コード
・管理領域
・支払条件
マスタデータを設定する目的
取引のたびに毎回ゼロから入力しなくてもいいようにする基礎情報の登録です。
入力作業の効率化
→ 住所、勘定科目名、支払条件などを事前登録しておけば、伝票入力時に自動補完される
データの一貫性・正確性の確保
→ 全員が同じマスタを使うことで、同じ顧客や勘定科目に対して同じ条件・名称で処理される
他モジュールとの連携
→ FI(会計)、SD(販売)、MM(購買)などで共通の顧客・仕入先・品目マスタを使える
例
勘定コードマスタ→ 仕訳に使う「お金の入れ物リスト」を作っておくもの
(例:「現金」「売掛金」「仕入」「売上」などの名前と番号をあらかじめ登録)
得意先マスタ→ お客さんの住所や支払い条件を事前に登録しておくもの
(例:〇〇商事=住所、電話番号、請求書の締日など)
仕入先マスタ→ 仕入れ先の基本情報をあらかじめ登録しておくもの
(例:□□製作所=住所、振込先、支払い期限など)
利益センタ
→「どの部署・事業が稼いだ売上や利益か」を記録する部署コード
カスタマイズを設定する目的
カスタマイズは、システムを会社の業務ルールに合わせる初期設定・構造設定です。
会社固有の会計ルールの反映
→ 会計年度の開始月、伝票タイプ、番号範囲などを自社仕様に設定
取引の制御
→ どの勘定科目がどの会社コードで使えるか、どの入力項目を必須にするかなどを定義
エラー防止
→ 不正な科目や日付、伝票タイプでの転記をシステムが拒否するようにする
自動処理のための基盤作り
→ 自動仕訳や決算処理、消込処理などの前提条件になる
例
会社コード設定
→ SAP の中に「この会社はこういう名前・通貨・決算月です」という情報カードを作ること
勘定科目表設定
→ 会社で使う「お金の入れ物リストの全体図」を作ること
(例:「現金は番号 111000」「売掛金は番号 121000」という一覧表)
伝票タイプ設定
→ 「これは売上の伝票」「これは経費の伝票」という種類分けと、番号の付け方を決めること
会計伝票の事前登録情報:FI-AP(債務管理)
FI-AP(債務管理)の会計伝票を作成するにあたって、事前に以下のマスタやカスタマイズの登録・設定が必要です。
- マスタ
・仕入先マスタ(一般データ、会社コードデータ、購買組織データ) ※ BP マスタの仕入先ロール
・勘定コードマスタ(共通データ、勘定コード表データ、会社コードデータ)
・原価センタ -
カスタマイズ
・会社コード
・管理領域
・支払条件
会計伝票の事前登録情報:FI-AR(債権管理)
FI-AR(債権管理)の会計伝票を作成するにあたって、事前に以下のマスタやカスタマイズの登録・設定が必要です。
- マスタ
・得意先マスタ(一般データ、会社コードデータ) ※ BP マスタの得意先ロール
・勘定コードマスタ(共通データ、勘定コード表データ、会社コードデータ)
・利益センタ -
カスタマイズ
・会社コード
・管理領域
・支払条件
会計伝票の事前登録情報:FI-AA(固定資産管理)
FI-AA(固定資産管理)の会計伝票を作成するにあたって、事前に以下のマスタやカスタマイズの登録・設定が必要です。
- マスタ
※必須項目なし -
カスタマイズ
・会社コード
・管理領域