無線LANのネットワーク構成について
無線LANのネットワーク構成について
アクセスポイントの有無による分類
無線LANの構成は、アクセスポイントがあるかないかによって、アドホックモードとインフラストラクチャモードに分類できます。
アドホックモード(ad hoc mode)
アクセスポイントを介さないで、(無線LAN対応の)機器同士が、接続するタイプの構成です。
インフラストラクチャモード(infrastructure mode)
アクセスポイント(※電波を送受信し、ルーターと通信機器の中継を行う機器)を介して、機器同士が通信を行う構成です。
次ページ以降解説する構成は全てインフラストラクチャになります。
BSSとESSについて
また1つのアクセスポイントによって構成されたネットワークかどうかによってBSSとESSの二つのネットワークに分類できます。
BSS(Basic Service Set)
BSSは、1つのアクセスポイントに対して、アクセスポイントを介してネットワークに接続する機器(クライアント)により構成されたネットワークです。
ESS (Extended Service Set)
一方ESSは、複数のBSSで構成されたネットワークを指します。
識別子について(BSSIDとESSID)
BSSを識別するID(ネットワーク識別子)としてBSSIDがあります。BSSIDは、48ビットの数値であり、(無線LAN)ネットワークに属するアクセスポイントのMACアドレスと同じです。
一方、ESSIDはESSのID(ネットワーク識別子)になり、最大32文字までの英数字で設定でき、SSIDとして扱われるのが一般的です。
このESSIDは同じ値を設定しないと接続できません。そのためネットワーク内でアクセスポイント、クライアントに寄らず各機器、揃えて設定する必要があります。
ローミングとは
無線LANを使用する際、PCやスマートフォンなどのデバイスを移動しながら使用します。
1つのアクセスポイントが有効な(電波が届く)範囲(※セル)は限られているので、距離によっては別のアクセスポイントまで移動することになるでしょう。
※セル:アクセスポイントが及ぶ範囲。カバレッジとも呼ぶ。
アクセスポイントごとにESSIDを設定するのは大変手間なので、できれば別のアクセスポイントに移動しても、そのまま無線LANを使用できた方が便利です。
そこで異なるアクセスポイント(無線LANネットワーク)間を、利用できるための機能としてローミングがあります。
ローミングを有効にするためには、AP間で各機器に同じESSIDを設定しなければなりません。
またローミングを利用する際には、異なるチャネル同士のセルが10%~15%オーバーラップすることが推奨されています。
企業LANにおける構成の分類
社内ネットワークでよく用いられるCiscoの無線LANの構成では、自律型(分散管理型)アクセスポイントと集中管理型アクセスポイントの二つに分類できます。
自律型(分散管理型)アクセスポイント
自律型アクセスポイントは、これまで習ってきたようなアクセスポイントと無線LANクライアントだけで構成されるネットワークです。
アクセスポイント単体が、従来の電波の送受信を始めとしたアクセスポイントの役割だけでなく、認証、暗号化、ローミングなどの役割も担いますので、アクセスポイントに個別で専用の設定、管理する必要があります。
自律型アクセスポイントは、社内の会議室に限定するなど小規模なネットワーク構築に適しています。
集中管理型アクセスポイント:WLC
一方、集中管理型は、アクセスポイント、無線LANクライアントに、無線LANスイッチ(WLC:Wireless LAN Controller)が加わった構成です。
自律型アクセスポイントと違い、認証、暗号化、ローミングなどの処理は、無線LANスイッチが行います。アクセスポイントが10台以上の中規模なネットワークでは、集中管理型アクセスポイントが適しています。