ERPとは

1.1 ERPとは

ERPとは、「 Enterprise Resource Planning ( 企業資源計画 ) 」の略で、
企業の持つ資金や人材、設備、資材、情報など
様々な資源を統合的に管理・配分し、
業務の効率化や経営の全体最適を目指す手法です。

(一言でいうと、人、モノ、金を統合的に管理する手法)

ERPパッケージとは

人・モノ・金を統合的に管理するため、
企業に導入・利用される業務横断型の業務ソフトウェアパッケージ を
ERPパッケージと呼びます。

図1 ERPパッケージ全体像
企業の様々な業務が1つのソフトウェアで管理できます。

ERPパッケージの特長(データの一元化)

ERPパッケージの最大の特長は、データが一元化されて保存されているという点です。
では、データが一元化されているとどのようなメリットがあるのか確認していきましょう。

ERPパッケージを利用していない場合

たとえば、ERPパッケージを利用していない場合は、各業務でそれぞれシステムが存在する事になり、
データが保存されるデータベースも、各システムに存在する事となります。

■図2
業務ごとでシステムが存在しているイメージ

企業がある商品を販売すると、

  • 在庫データは、販売業務システムから入力。
  • 売上データは、会計業務システムから入力。

1つの取引でも、2回のデータ入力が必要となります。※図2参照
(モノとカネが別々で管理)

ましてや、各業務システムで入力担当が違ったりすると大変です。
入力漏れや、入力の時間差(タイムラグ)などで1つの取引でも、
データの整合性がとれていない状態が発生する可能性があります。

ERPパッケージを利用している場合

ERPパッケージを利用している場合は、システムは1つです。
データが保存されるデータベースも、1か所に存在します。
これが、データの一元化という事です。

■図3 ERPパッケージの場合。
  業務毎で入力画面が分かれるイメージ

同様に、企業がある商品を販売すると、

在庫データを、ERPパッケージの販売画面から入力。
売上データは、必要な情報が自動で登録。

1つの取引が、1回のデータ入力で完了します。 ※図3参照
(モノとカネが統合的に管理)

入力漏れや、入力の時間差(タイムラグ)なども発生せず、
データは常に整合性がとれた状態となります。

補足

今回は、取引データの入力を参考にしましたが、たとえば、入力に必要な取引先のマスタ情報なども、
システムが分かれていると2重管理することとなり、更新の際は、ダブル・メンテンナンスとなります。

データが一元化される事は、手間が減るだけでなく、そのデータを様々な視点(業務横断的)にて、すぐに(取りやすい)、分析する事ができ早期経営判断におおきく貢献します。

最近の動向

最近のERPパッケージの動向ですが、ERPパッケージのクラウド化が急速にすすんでおります。

2020年には、クラウド版のERPパッケージの利用率は
全体の45%近くとなります。

では、クラウド版のERPパッケージとは何か。
どの様なメリットがあるのか見ていきましょう。

はじめに、オンプレミスとクラウドの違いをみていきましょう。

オンプレミスとクラウドの違い

  • オンプレミス:自社の中で情報システムを保有し、自社内の設備によって運用することを指します。
  • クラウド:インターネット等のネットワーク経由で接続できる様々なサービスを指します。

クラウド版ERPパッケージとは

従来のERPパッケージは、オンプレミス型が主流でした。
しかし、現在では通信インフラの進歩により、クラウド型が主流に
なりつつあります。

このように、クラウドのサービスを利用して使えるERPパッケージの事を
クラウド版ERPパッケージといいます。

では、利用するメリットを見ていきましょう

クラウド版ERPパッケージを導入するメリット

クラウド版ERPパッケージを導入するメリットを3つ紹介します。

1 導入時間・コストの削減

自社でインフラを用意する必要がありません。
そのため、導入時間や初期費用を大幅に削減できます。

2 生産性の向上

時間や場所を問わない

インターネット環境さえあれば、いつでも、どこでも利用できます。
そのため、営業先や自宅での業務、またモバイルでの対応が可能です。

リアルタイムな情報共有・分析機能

他システムとの連携も容易で、企業が持つ情報を一元管理できます
リアルタイムでの情報把握や迅速な経営判断に役立つでしょう。

3 安全性の向上

自社内で実現するのが難しい高度なセキュリティ対策が施されている事や、
バージョンアップの負担が少なく済むのも魅力です。

オンプレミス版では、一度バージョンアップするだけでも企業にとって大きな負担となっていました。
しかし、セキュリティ上の脆弱性を放置する事もできません。

クラウド版ならサービス提供側がバージョンアップしてくれるため、
常に最新バージョンが利用できます。

有名なERPパッケージ

次に、世界的に有名なERPパッケージ企業とその製品を説明していきます。

SAP(エス エーピー)社

製品名:

S/4 HANA ※前バージョンは ECC

顧客:

大企業向け

特徴:

世界で最も売れているERP。
スピード経営が求められる現在。業務の標準化を進め、
リアルタイム経営を実現するツールとなっている。

オラクル社

製品名:

Oracle EBS

顧客:

大企業向け

特徴:

オラクルの代表商品である「Oracle Database」を利用。
随所にWeb技術やJava言語を取り込んだ構成となっており、
他のシステムとの連携や追加開発などが比較的行いやすい。

マイクロソフト社

製品名:

Microsoft Dynamics

顧客:

中小企業向け

特徴:

Office製品等、他のマイクロソフト製品との連携に優れて
いるため、個々のユーザーが使い易い様にパーソナライズできる。

※補足
また、国産ERPパッケージでは、OBIC、GRANDIT などが有名です。


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