SAPモジュールの概要
SAPモジュールの概要
ERPとは
SAPモジュールの内容を理解するにあたって、まず「ERP」という概念についてみていきましょう。
SAP ERP(Enterprise Resource Planning)とは、ドイツにあるSAP社が販売するERPシステムです。
企業向けの業務システムの中で、一番幅広く使われているもので、購買、販売、会計などの業務をカバーするシステムです。
ERPは、簡単・短期間で導入できるのはもちろん、企業業務にシステムを合わせていくカスタマイズ機能があります。
企業内のさまざまな業務に対応するため、SAP ERPはこれらの業務領域をいくつかの単位に分けて管理しています。
この分類された単位を「モジュール」と呼びます。
SAPモジュールとは
SAPモジュール（＝コンポーネント）とは、SAPで使われる機能のかたまりです。
SAPのERPシステムは、企業の基本業務を行うため、業務にかかわるたくさんの機能を体系化したものをSAPモジュールと呼びます。
モジュールは各企業の案件に応じて、必要なものだけを使うことができます。
SAPシステムはFI、CO、SD、MM、PPなど、様々なモジュールで構成されています。
それぞれのモジュールは、会社の組織や業務内容と連携しています。
SAP ERPでは、開発を機能群ごとに管理したり、業務要件定義を領域ごとに進めやすくしたりするために、
モジュールを導入しています。
各モジュールには各機能に応じて顧客・購入先のマスター情報、伝票・トランザクション情報等が定義されており、各モジュールは有機的に連携されています。
SAPモジュールの位置付け
SAPのERPパッケージには、様々な業務に対応した機能群が用意されています。
これらモジュール同士が、お互いに連携して使われます。
SAPモジュールの主要名称
次のページでは、SAPのモジュールを語る際に使われる
SAPモジュールでの主要名称のうち、いくつかを見ていきましょう。
各モジュールの名称は、英語名の頭文字を取って表記することが一般的です。
その中でも、基本的な機能を行うにあたって各機能ごとに、さらに4つのサブモジュールに分類できます。
例えば、FI(財務会計)の場合、財務会計に伴う総勘定元帳、債権管理、債務管理 、固定資産会計についてそれぞれのサブモジュールがある形です。
CO(管理会計)についても、間接費管理、製品原価管理、収益性分析のように体表的に使われるサブモジュールがあり、各モジュール名でハイフンで繋げて表示する形になっています。
各モジュールの機能については、各モジュールの単元で更に詳しく説明します。
SAPモジュールの連携
SAPのERPパッケージには、様々な業務に対応した機能群が用意されています。
ERPパッケージには図のような様々なモジュールがあり、行う業務内容に応じて会計系、ロジ系、人事系の様々なモジュールを選択して扱うことができます。
上記は、モジュール間の連携を簡略に表したイメージ図です。
ここでは注文から出荷、請求など、仕入先と得意先間で行われる販売のプロセスで使われる主なモジュールを表したものとして、参考にしていただければと思います。
SAPモジュール間の連携（製品の注文～発注）
では実際に、企業内の業務で各モジュールがどのように連携されるのかを
まずは、製品の注文が発生した後、生産のため原材料を発注する流れを想定してみていきましょう。
①製品について、得意先（お客様）から送られたお問い合わせを対応します。（引合）
これには在庫の確認、見積の依頼、製品の金額などが含まれます。
その後、注文予定製品について見積を送り、内容に問題なければ受注し、受注伝票を登録します。
②受注した情報（品目、数量、納品日）をもって、生産予定を確認します。
すでに製品がある場合は、倉庫から出荷する事になります。
製造のために原材料が必要な場合には、MMへ購買依頼を入れ、発注を行います。
③MMでは自社内の購買依頼を用いて、仕入先へ資材の発注を行います。
SAPモジュール間の連携（入荷～支払）
次は、発注した原材料が届いて、その原材料の代金を支払った所までをみてみましょう。
④注文した現物が届くと、入荷処理を行います。（MMで入荷伝票を登録する）
その結果、倉庫に現物がふえるので、在庫情報が更新されます。
原材料を購入したので会計伝票が起票されます。(FIで会計伝票が登録される)
後で利益（売上―費用）を求めるため、管理会計にも費用データが登録されます。
⑤仕入先から請求書が届くと、会社で把握している金額と一致するか照合します。
⑥支払処理をおこない、お金を払います。
その結果、購入の際に買掛金として計上していた掛け残高がなくなります。
（FIで会計伝票が登録され、買掛金が決済されます。）
SAPモジュール間の連携（出荷～請求）
次は、製品が完成された後、納品し、その代金を回収する流れをみてみましょう。
⑦注文された製品の出荷処理を行います。(MMで出荷伝票を登録する)
その結果、倉庫から現物が減るので、在庫情報が更新されます。
製品を販売したので会計伝票が起票されます。(FIで会計伝票が登録される)
⑧会社で把握している金額をもって、得意先に請求書を送付します。
⑨お金が払われて、入金処理をおこないます。結果、販売の際に売掛金として計上していた掛け残高がなくなります。（FIで会計伝票が登録される。売掛金が決済される）
このように、モジュールを横断して連携がとられています。