第3章 Spring開発環境
3.2 Spring開発環境の構築
3.2.1 Java Development Kit8のインストール
Java Development Kit8のインストール手順については以下のURLで案内しています。
Java(JDK)インストール手順
JDKのインストール
3.2.2 STS構築手順
■STSのダウンロードSpring Frameworkは、「フレームワークをダウンロードして手作業で組み込み、アプリケーションを構築する」というような使い方が、ほとんどされません。それよりも、開発元のSpringSourceが用意している専用ツールを利用して開発を行うほうが、はるかに簡単です。それが「STS」(Spring Tool Suite)です。
STSはSpringSourceが提供するSpring純正開発ツールです。既に触れましたが、Eclipse Foundationが開発するオープンソースの開発ツール「Eclipse」をベースにしており、Spring Frameworkを利用する機能を盛り込んで、簡単にアプリケーション構築が行なえるようになっています。
STSダウンロードURL
Spring開発環境構築■STS利用の注意点
STSを利用する場合、いくつか頭に入れておきたいことがあります。以下に簡単に整理しておきましょう。
JDKが必須
STSの利用には、JDKが必要となります。JREだけでなく、必ずJDKを用意しておいてください。
JDKのバージョンは、Java8以降を利用します。
32/64bitを揃える
STSには、32bit版と64bit版が用意されています。それぞれの環境に合わせて、どちらを使うか選択してください。このとき注意すべきは、「64bitを使うときはJDKも64bitでないといけない」という点です。PCのCPUとOSが64bitであっても、JDKが32bit版だった場合には、STSは32bit版を使わなければいけません。
配置場所のアクセス権に注意
STSのインストールについては後述しますが、「アクセス権が制限されているところにはインストールしない」という点に留意してください。Windowsの場合、「Program Files」フォルダなどがこれに当たります。ユーザーのホームディレクトリ内か、あるいはドライブのルート(ディスクドライブを開いてすぐの場所)などが良いでしょう。
また、STS本体のほかに「ワークスペース」の保存場所も指定しなければいけませんが、これもホームディレクトリ内にしておくのが一番です。
STSのインストールは、非常に簡単です。STSは、圧縮ファイル(WindowsはZipファイル、macOSはtar.gzファイル)の形で配布されています。ダウンロードした圧縮ファイルを展開し、適当なところに配置するだけでインストールは完了です。
以前は、専用のインストーラ型式プログラムも配布されていましたが、現在これらはなくなり、すべて圧縮ファイル形式での配布となりました
図 3.2 1:圧縮ファイルの例
それでは、ダウンロードした圧縮ファイルを「C:/usr/の下」に解凍しましょう。
図 3.2 2:C:/usr/の下にSTSのパッケージを解凍する
このフォルダ内には、以下の3つのフォルダが用意されています(xxxは、任意のバージョン名)。
図 3.2 3:「sts-bundle」の中身
基本的には「sts-xxx」というフォルダだけあれば、STSは利用できますが、実際の開発ではサーバープログラムなども不可欠となりますので、「要らないだろう」と勝手に削除したりしないでください。
3.2.3 STSの日本語化について
STSは、標準ではすべて英語表記になっています。開発が米国ですのでやむを得ない面もありますが、やはり「日本語で使いたい」と思う人も多いでしょう。本書は、基本的に英語のまま説明を行なっていきますが、日本語がいいという方のために、日本語化の方法を説明しておきましょう。
STSは、Eclipseをベースにして作成されています。従って、Eclipseの日本語化のためのプログラムをそのまま利用することで、表示を日本語にすることができます。この日本語化プログラムは「Pleiades」と呼ばれ、MergeDoc Projectによって開発されています。
PleiadesダウンロードURL ※スクールのパソコンには勝手にインストールしないでください
Windows版: https://kanda-it-school-square.com/download/pleiades-win.zip
macOS版: https://kanda-it-school-square.com/download/pleiades-mac.zip
ただし、STS独自のプラグインが多数追加されていますので、これにより完全に日本語化できるわけではありません。「主な部分はだいたい日本語表示になる」という程度に考えてください。Eclipse本体の部分は基本的に日本語に変わりますが、STSの機能(すなわち、Spring Frameworkを利用するための部分)の多くは英語のままになります。
ダウンロードされた圧縮ファイルを展開すると、Pleiadesのプログラム類とインストーラが保存されます。フォルダに用意される「setup.exe」がインストーラプログラムになります。
図 3.2 4:ダウンロードした圧縮ファイルを展開したところ
インストーラであるsetup.exeを起動すると、Pleiadesのインストールプログラムのウィンドウが現れます。ここで、インストールするプログラムを選択肢、インストールを行ないます。
図 3.2 5:Pleiadesのインストールプログラム画面
画面にある「選択…」ボタンをクリックし、インストールするSTSの本体プログラムを選択してください。STS.exeが本体になります。すると、インストールするアプリケーション、Pleiadesが配置されるディレクトリ、Pleiadesの設定が追加されるファイルが自動的に設定されます。
図 3.2 6:「選択…」ボタンでSTSを選ぶと自動設定される
そのまま「日本語化する」ボタンを押すと、日本語化が実行されます。実行後にアラートが表示されるので、そのままアラートを閉じ、「終了」ボタンで終了してください。
図 3.2 7:日本語化を実行すると、アラートが表示される。そのままOKして、終了する。
これでPleiadesのインストールは完了です。次に起動するときからSTSは日本語化されます(ただし、先に説明したように、完全に日本語化されるわけではなく、一部英語が残った状態になりますが、これが正常な状態です)。