導入の流れ
1.3 導入の流れ
はじめに
この章では、企業がどのようにERPパッケージを導入するのか、どういった時にABAPで開発するのかみていきましょう。
プロジェクトとフェーズ
IT業界では、定められた期間で製品やサービスを創造するため、計画して遂行するものをプロジェクト(project)といいます。
SAP導入プロジェクトは、規模や範囲によって期間が大きく変わり、数か月から複数年に及ぶこともあります。
そのため、一般的にはプロジェクトをフェーズ(phase)に分け、管理することで、ゴールに着実に向かうことができます。
プロジェクトメンバー
SAP(S/4HANA)導入プロジェクトでは、業務・システムの両面から検討を進めるため、さまざまな役割の担当者がアサインされます。
本節では、代表的な役割と担当範囲を整理します。
プロジェクトオーナー
・導入企業側の経営層または意思決定権限を持つ責任者が担うことが多く、プロジェクト全体の最終責任と意思決定を行います。(導入会社の社長、副社長)プロジェクトマネージャー(PM)
・導入企業側の情報システム部門や、ベンダー側の責任者が担い、予算・要員・進捗・課題など、プロジェクト全体の管理を行います。(導入会社のシステム部部長、ベンダー側責任者等)なお、PMをサポートする役割でPMOを置く場合もあります。プロジェクトリーダー(PL)
・導入企業側・ベンダー側それぞれにリーダーを置き、計画に従って担当領域の作業を推進します。(導入会社、ベンター側からリーダーが選出するなど)コンサルタント(CN)
・業務部門から業務要件を整理し、SAP標準機能を前提とした解決策を提案します。業務部局(経理部など)から業務要件を聞き、要望に合うソリューションを提案します。
SAPには業務で利用できる標準機能が多く用意されているため、まずは標準機能で対応できるかを確認します。
この検討を Fit & Gap(標準機能で「適合する部分」と「不足する部分」を整理する作業) と呼びます。
不足する部分(Gap)については、新規でアドオン開発を行い対応するかどうかを検討します。
システムエンジニア(SE)
・アドオン開発が必要と判断された機能について、実現方法を検討し、基本設計として整理します。アドオン開発する事となった機能について、その実現方法を検討し、基本設計に落とし込む役割です。基本設計では、複数プログラムを組み合わせて機能を実現するための、構成・処理概要・入出力などを定義します。 (主な成果物例:基本設計書、画面設計書)プログラマー(PG)
・基本設計に基づき詳細設計を行い、プログラムを作成します。また、単体テストを実施し、品質を確認します。基本設計に基づき、各プログラムの詳細設計に落とし込みます。 (主な成果物例:詳細設計書、プログラム、単体テスト仕様書)プロジェクトには上記以外にも多くの担当者が参加します。
- 移行担当者:既存システムからSAPへマスタやデータを移行します。
- インフラ担当者:サーバ、ネットワーク、SAP(S/4HANA/HANA基盤)のインストール等を担当します。
- ユーザー教育担当者:新システムの利用方法を説明し、マニュアル作成を行います。
- 営業担当者:SAPライセンスや要員調達を行います。
プロジェクト要員計画
SAP導入プロジェクトでは、フェーズに応じて必要となる役割や人数が変動します。
PMおよびPLは、プロジェクト全体を通して継続的に関与することが多い一方、コンサルタント、SE、PGは必要なフェーズに合わせて増減します。
また、プロジェクト規模が大きい場合、開発(PG)要員が多数になることもあります。
次節では、各フェーズで実施する作業内容と、ABAP開発が発生するタイミングを確認します。