第1章 オブジェクト指向プログラミング
1.2 オブジェクトについて
オブジェクトは日本語で「もの」と訳されます。オブジェクトとは、「もの」をプログラムとして表現するにあたって、その「もの」を構成するのに必要な構成要素を抽出したものです。
1.2.1 オブジェクトとは
一言で「もの」と言っても様々な捉え方が存在しますが、オブジェクト指向の考え方における「もの」とは個別の実体を指します。
例えば、パソコンは1つの「もの」ですが、オブジェクト指向の考え方で表すと、「Aさんが持っている型番PC-VY14で、製造番号が6015478Aのパソコン」が1つのオブジェクトに対応します。同じ型番のパソコンは世の中にたくさん存在していますが、ある製造番号のパソコンは1つしか存在していません。
図 1.2.1 パソコンオブジェクト
つまり、オブジェクトとは、人間が別の「もの」だと認識できる「個体」を表す単位になります。
1.2.2 オブジェクトの属性と操作について
オブジェクト指向におけるオブジェクトは、属性と操作を持っています。
・ 属性…オブジェクトが持つ情報や、状態を指す。
・ 操作…オブジェクトが持つ機能を指す。
例えばパソコンであれば、型番や製造番号、使用CPUやOS、メモリやHDD容量など様々な属性を持っています。
また起動させる、終了させる、データのコピーを行う、音楽を再生させる等様々な操作を持ちます。
オブジェクトには、様々な属性や操作を自由に持たせることが可能です。
Javaプログラムでオブジェクトの属性と操作を表現すると以下のような関係になります。
・ 属性…Javaプログラムでは「変数」に該当。
・ 操作…Javaプログラムでは「メソッド」に該当。
それを図で示すと下記の図のようになります。
図 1.2.2 オブジェクトの属性と操作
オブジェクトについてイメージはできたと思います。ではそのオブジェクトをJavaの世界で表現するのに必要なクラスの仕組みについて次の節で説明していきます。